2年目のカンサット
語り手:ヤマゲン(山元 透 やまもと・とおる)

この年のカンサットはつらかったです。最初の年も大変だったですけど、この年は、日本では完成できなかったので、現地でずっと作業をしていました。ブラックロックの砂漠のモーテルでは、8時くらいにレストランが閉まってしまうし、自販機は25セント硬貨しか受け付けないので、飲まず食わずで一睡もしないまま、炎天下の砂漠に放り出されて、そこでまだはんだ付けなんかしてました。電源ですか?車のバッテリーからとってました。灼熱の中で、はんだ付けする経験もそんなにできるものじゃないですね。

永島がプロマネをやっていたんですが、体調があまりよくなさそうだったんで、心配しました。カンサットの結果ですか?二年目だったせいもあって、かなり凝ったことを考えてやっていました。ちょっと欲張りすぎちゃって、たくさんミッションを詰め込みすぎたのか、結果としては、いまひとつでした。 カンが地上に落ちたら、足が出て一人で起き上がるような仕掛けをつけたカンは、なぜかマイクロスイッチが先に入って、キャリアから出る前に足が出てしまって、それが邪魔になって、外に出てこれないままでした。スピードをコントロールするように作ったカンは、自由落下して壊れてしまいました。報告会のときには、実際にやってみせて、拍手をもらいましたが、やっぱり空からおりてきたときにうまくいってほしいですよね。

やっぱり、こういうのは、作るだけじゃなくて、作ってから検証する時間をとって、しっかりやらないとだめなんですね。いろいろアイディアを考えて、設計して作るのは楽しいんですけど、そのあと、バグとりのような絞り込む作業をしないと、本番でうまくいかないみたいです。いろんなことを学びました。GPSのミッションはけっこううまくいきました。落ちる場所を特定できるから、その場所へ行って降りてくるのを待っていられるんです。東工大の鶴見氏は、カンのスライディングキャッチを試みて、ひじを負傷したみたいでした。ウチのほうは、中須賀先生が、「キャッチするなんて、ダメに決まってるだろう」と言っていたのに、ご自分でキャッチしてしまいました。

打ち上げが終わってから、少しのんびりしました。それで極度の疲労状態からかなり復活して帰国しました。それからは、もちろん、USSSを目指して、キューブサットのBBM製作に集中しました。