USSS 2004 報告

九州大学 平山寛

シンポジウム概要

USSS(University Space Systems Symposium:大学宇宙システム・シンポジウム)とは、宇宙工学分野の研究を行っている日米の大学の学生と教官が、ハワイに集まり、日米協同の宇宙工学プロジェクトについて話し合う会議です。これは、同時期にハワイで開催されているJUSTSAP (The Japan-US Science, Technology & Space Application Program) の一分科会であるSSWG (Small Satellite Working Group) の学生部会という位置づけになっています。
USSSは1998年に開始されて以来、継続して毎年11月に開催されており、今年度は第7回目になり、2004年11月13日から14日の2日間の日程で、ハワイ島のWaikoloa Beach Marriott Resortホテルで開催されました。
日本側の参加者のとりまとめは、参加校が持ち回りで担当しており、今回は九州大学の平山が担当しました。
Map of Hawaii

参加校

今回の参加校と、参加人数は以下の通りです。
参加校学生教職員合計

九州大学2216
日本大学31
香川大学21
東京工業大学3 
東北大学 1
東京都立科学技術大学1 

Santa Clara University1112
Georgia Institute of Technology31
San Jose State University11
Utah State University11
Washington University in St. Louis1 
JPL 1
今年の参加校数は日米6校ずつで例年と大差ありませんが、参加者数は28名で例年より減り、こぢんまりした会議となりました。今回、参加者が減った理由として、 が考えられます。東京大学や創価大学といった常連校が辞退されたのは残念でしたが、香川大学と都立科学技術大学という有力な初参加校に参加いただけたのは、大きな収穫でした。

スケジュール

会議は13日と14日の2日間ですが、日本からの航空便の関係で、前日12日の午前中に現地入りし、午後には会場のホテルにチェックイン。会議後はもう1泊して、翌15日の朝にチェックアウトして帰国、というのが最短の参加日程となります。
13日は朝食を食べたらすぐ、朝8時30分から開会です。はじめに関係者の挨拶、つづいて各校が活動報告とプロジェクト提案のプレゼンテーションを行いました。今回は人数が少なく小回りがきくので、事前に定めた会議のアジェンダに固執せずに、会議を進行しました。そのため当初は、各校の発表は15分ずつで、初日の午後早くには一通り発表を終える予定でしたが、各校とも発表が20〜30分となり、これは2日目の午前まで食い込んでしまいまいした。
そのため、採択されたプロジェクトごとにテーブルを分かれてのグループ・ディスカッションは、例年なら初日の夕方から2日目いっぱいかけて行われますが、今年は2日目の午後だけとなりました。グループ・ディスカッションの後、最後に各プロジェクトの内容や分担、スケジュールなどについてファイナル・プレゼンテーションを行い、シンポジウムは閉会しました。
2日目の夕食時に、日米の大学間で記念品の交換会も行われました。
Photo of Symposium

採択プロジェクト

今回のUSSSでは以下のプロジェクトが採択され、グループに分かれてディスカッションを行いました。
Robotics and Teleoperation
ロボットの遠隔制御に関する各種実験を行うプロジェクト。
プロジェクトへの参加校は、Santa Clara大学,香川大学,九州大学,東京工業大学,東北大学,日本大学,Georgia工科大学です。制御対象はSanta Clara大学のAmigobot、東北大学のローバー、Georgia工科大学のクレーンで、インターネットを介した遠隔制御を行います。また、地上局ネットワークに関連した活動として、ITARに抵触しない範囲で、地上局アンテナの遠隔制御実験を行います。
Command Generation for Tether Systems
Georgia工科大学が得意とするInput Shaping法をテザーの制振に応用するプロジェクト。
制御対象として、九州大学のテザー衛星QTEX,都立科学技術大学のテープテザーfortissimo,東京工業大学のCute 1.7の形状記憶合金テザー,香川大学のGSR-1(TSR)、が参加します。
CanSat Finder
降下中のCanSatを自動で追跡し、着陸点で回収を行うローバーを開発するプロジェクト。
東京工業大学とGeorgia工科大学が協力し、次回のARLISSへの参加を目指します。
Design Environments
これには2つの似たプロジェクトが含まれます。
Advanced Design Environments
Utah州立大学のSpace Systems Design Courseに参加し、宇宙機設計について学ぶとともに、Utah州立大学の誇る多人数による協同設計環境を体験するものです。これにはUtah州立大学の他に、San Jose州立大学と日本大学が興味を示して、学生の交換留学の可能性を検討します。
CubeSat Database
NASA Research ParkにあるSpace Technology Centerは産官学の共同利用施設で、そこで運用されているIDNはweb上で利用可能な設計ツールです。San Jose州立大学と日本大学は、IDNを利用してCubeSatの情報を共有するためのデータベースを構築します。
Balloon and Glider
Washington大学が開発中の高層気球と回収用無人グライダーを利用した、実験環境の提案です。気球で高度20km程度まで上昇し、そこから小型の無人グライダーが自由落下する間、宇宙環境とまではゆかないものの、かなり真空かつ微小重力に近い環境での各種実験が可能となります。このグライダーは地表付近では自律制御で滑空して、ペイロードを安全に回収できます。構造物の展開試験や、機器の環境試験のプラットフォームとして期待できます。
(これは正規にグループ・ディスカッションを行ったプロジェクトではなく、特にグループは設けず、Washington大学の担当者が、興味を持った者と個別に質疑を行っていた。)

反省点

アナウンスの遅れ

例年であると7月ごろに開催を案内して、8月ごろにアブストラクトの募集、そしてアブストラクトを審査して参加校の選定という手順を踏みます。しかし、今年は宿泊や価格などの条件について米側との交渉に手間取ったうえ、担当者間の連絡のまずさもあって、Call for Paperをウェブに掲載したのが9月の下旬になってしまいました。(その時点でも参加登録料は未定でした) もうホテルの予約期限が迫っていたので、今回は従来の公募手順は踏まずに、常連参加校と、新規で参加の可能性がある研究室に直接打診して参加者を募り、後からアブストラクトを提出してもらいました。この状況は米側も同様だったようです。 このクリティカルな時期に、9月末のネバダでのARLISSと、10月上旬のバンクーバーでのIACが重なり、多くの主要な教官・学生が不在であったことが、事態をさらに困難にしました。

当日スケジュール

当日のスケジュールも柔軟すぎたのではないかと感じました。初日の各大学の活動報告が長引き、2日目のディスカッションの時間が極端に短くなってしまいました。ファイナル・プレゼンテーションを見ても、プロジェクトの簡単なコンセプトと、粗いスケジュールまでしか策定されていないグループが多かったのが気になりました。
(しかし、例年のように、初日午後の中頃からディスカッションに入っても、2日目の午後には話題が出尽くしてしまい、「もうこれ以上なに話す?」という飽きの雰囲気が感じられますので、中庸がよいでしょう。)

来年について

これまで7回のUSSSはSSWGの下部組織という位置づけでJUSTSAPに参加してきましたが、SSWGは今回で解散することになりました。そして、来年からはUSSSがJUSTSAP直属の1部門として参加することになります。これは、USSSが今までの継続した活動とその成果により、一人前のワーキンググループとして認められたことを意味する一方、SSWGの庇護がなくなり、今後の活動により一相の責任が生ずることでもあります。
参加校は、USSS 2004で策定したプロジェクトを、責任をもって遂行し、次回のUSSS 2005で進捗を報告してほしい。

参考リンク